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登場人物
 ドーリー・ストレイシープ
 蓬莱人が弾幕に興じる竹林。
 その周辺は阿鼻叫喚の地獄絵図か、はたまた不毛の荒野に成り果てるか。
 それでも、そこから離れてしまえば、竹林はまた優しい風の音と清らかな空気をもたらしてくれる。
 彼女が住んでいるのは、そんな竹林の奥。
 たまに来るお客以外は滅多に人が来ない、そんな小さな庵である。

 窓際に置いてあるミシンは、既に外では幻想となった足踏みミシン。
 穏やかな午後の日差しを受けながら、それに突っ伏して惰眠を貪る妖怪一人。

「おーい、ジンギスカン。起きてるかー?」
「ふぁぃ〜……?」

 勢いよく開かれた扉から入ってきたのは、幻想郷唯一の普通の魔法使い。
 声に反応して、彼女はゆったりとした動作で起き上がる。
 眠い眼をこすり魔法使いに気付くと、その表情が穏やかな笑顔に変わった。

「あ、魔理沙さん〜」
「ようラム肉。ちゃんと食べてるか?」
「はいとっても。昨日は笹の葉3枚食べました〜」

 ジンギスカンやらラム肉やら、何かとあだ名を付けられている彼女ではあるが、
 生来の性格ゆえか、さほど気にはしていないようだ。

「……霊夢より食べてないんだな、お前。
 まあいいか。実験で蜘蛛の糸が欲しいんだ。
 集めるのも面倒なんでな。キャベツ一玉でどうだ?」

 魔理沙が持っていたキャベツを見せると、彼女はパッと眼を輝かせた。

「お仕事ですね〜、少々お待ちくださいませー」

 近くに置いてあった裁ちハサミを手にすると、彼女はその豊かな髪を惜しげもなく切り落とす。
 床に散らばる前にふわりと宙に浮かせると、ゆっくりのんびり術を展開し始めた。

「結構かかるか?」
「お昼までには終わります〜」
「そっか。じゃあ珈琲でも飲んで待ってるぜ」

 勝手知ったる他人の家、とばかりに魔理沙は戸棚の方へと向かう。
 それを彼女は別段止めもせず、むしろ嬉しそうに見送った。

「ご自由にどうぞ〜」

 変わることなんて特にない、平坦で平凡な毎日。
 だからこそ、彼女は好んで昼寝をする。
 代わり映えのない日常だからこそ、そんな中で見る夢は輝かしいものだから。
 例え覚えていなくても、叶うことがなくても、見れるだけで幸せな夢だから。

「羊肉さん、起きてるかしら?」
「あと5秒でおきますよぉ……く〜」
「生憎、時間は私の専門よ。2秒も5秒もあっという間」

 こうしてまた、彼女の平凡な毎日は続いていくのでしたとさ。



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